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【地球をどうしますか 環境2008】中央アジア諸国 水めぐる対立

2008年05月12日 23:00

 ■迫る危機、虎視眈々の露

 石油や天然ガスと同様、「水」でも「持てる国」と「持たざる国」が存在する。将来、水こそが戦争を引き起こすとみる専門家さえいる。旧ソ連の中央アジアでは、慢性的な水不足に伴う諸国間の対立が激しさを増していた。

 「農業や飲料に必要な夏場に水が足りない。半面、厳寒の冬場には毎年、川が氾濫(はんらん)し大洪水が起き、その被害額は年間10億テンゲ(8億8000万円)を下らない」。カザフスタン水資源委員会のケンシモフ副議長は厳しい状況を説明する。

 なぜか。降水量の少ない中央アジアは淡水の多くをシルダリヤ(シル川)とアムダリヤ(アム川)の二大河川に頼る。そのシル川の上流に位置する隣国のキルギスが、冬場の水力発電に備えて夏に貯水し、冬になると一気にダムから放出するからだ。

 中央アジアには、二大河川の上流に位置して水を自由に使えるタジキスタン、キルギスと、そのあおりを受ける下流のカザフ、ウズベキスタン、トルクメニスタンが対立する構図が生まれた。諸国間の小規模な武力衝突も起きており、取水問題は一触即発の状況だ。

 下流の3カ国は石油や天然ガスが豊富だが、上流の2カ国にはそれがない。カザフ大統領付属戦略研究所のラフマトゥリナ氏は「ソ連時代は中央政府が水資源の配分を統制し、水・電力と石油・ガスの弁済関係があった。ソ連解体でそれが崩れ、各国の利害はむき出しになった」と解説する。今や「キルギスは石油やガスと引き換えに、従来の電力に加え、川の水まで売ろうとしている」という。

                 ■ ■ ■

 こうした対立と利害の構図を虎視眈々と見据えているのが、世界第2の淡水資源を擁するロシアである。

 プーチン前大統領の側近、グリズロフ下院議長は2月、「飲料水は石油、天然ガスに続いてロシアに利益をもたらす。すでに水をめぐる戦争が始まっており、淡水は戦略の源だ」と語った。石油やガスの供給停止を盾に近隣諸国を恫喝(どうかつ)するロシアは、水を第3の「政治的な武器」と位置づけ始めたのだ。

 世界資源研究所(米国)によると、ロシアの年間保水量は4313立方キロ。これは中央アジア5カ国の合計保水量の21倍以上にも相当する。中東に目を向けると、アラブ首長国連邦やクウェートの淡水資源はゼロに近い。ロシアは中央アジアや中東に水を輸出する可能性を検討しており、一部のオリガルヒ(寡占新興財閥)はすでに、水源や水を輸出するためのパイプラインなどの利権をにらみ暗躍を始めている。

 現時点では「ロシア自身の水汚染が深刻で、技術面からみても水の輸出は採算がとれない」(露科学アカデミー、ザイツェバ氏)との見方もあるが、ケンシモフ氏は「カザフが将来的にロシアから水を買うことは大いにあり得る」としている。

 世界的にみると、水の消費は前世紀、人口の2倍のペースで増え、さらなる需給逼迫(ひっぱく)が予想されている。20秒に1人が浄水の不足により死亡しており、水を「効率的かつ公平に分配する方法」(潘基文・国連事務総長)を考えるべき時にきている。(アスタナ=カザフスタン 遠藤良介)

                  ◇

 □干上がった湖 アラル海

 ■水量回復、芽生えた希望

 たどり着いた漁村に「海岸」はなかった。カザフスタンとウズベキスタンにまたがる内水湖のアラル海。その北部、ブグニ村の漁師らは、15キロ先に遠ざかった海まで、砂嵐の中をトラックやバイクで走り抜け、漁に出る。

 かつて6・8万平方キロと、北海道(8・3万平方キロ)よりやや狭い、世界第4位の湖面積を誇ったアラル海は、ソ連時代の1960年代に干上がり始めた。89年には北側の小アラルと南側の大アラルに分かれ、湖面積も現在は4分の1ほどだ。「水中の塩分濃度が急激に上昇し多くの魚類が死滅した。、干上がった地面から塩分を含む塵(ちり)が遠方まで飛散し、地球規模の気候変動に影響している」(現地環境調査官、カイルベク氏)という。

 原因は、旧ソ連政府の無謀ともいえる農業政策にある。アラル海に流入するシル川とアム川の流域を砂漠から農業地帯に変えようと、ソ連は両河川から無数の運河を引く大規模な潅漑(かんがい)事業を行った。その結果、中央アジアは綿花などの一大生産拠点となったものの、アラル海の縮小と水不足の深刻化を招いたのだ。

 2005年には、小アラルから大アラルへの水の流れを止めるべく、世界銀行などの出資で堰(せき)が建設され、小アラルについては水量や水産資源が若干、回復した。NGO(非政府組織)の支援を受け、1990年代には壊滅状態にあった漁業も、徐々にだが復活している。

 ベテラン漁師のカラトゥポフさん(66)は「私たちには漁業しかないというのに、海岸はどんどん後退し、多くの者が村を去った」と振り返る。そして「今はスズキなど4種類の魚が獲れる。60年代と比べれば2割の漁獲高しかないが、希望は芽生えている」と話す。

 だが、かつてのアラル海を取り戻すこと、とりわけ大アラルを救うことは絶望的だという。ソ連時代の農業政策の「負の遺産」は、かくも大きい。

(2008/05/12 産経)
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世界的な水不足の衝撃 放置すれば、企業経営を圧迫

2008年04月24日 23:00

 タンザニアの都市ダルエスサラームのスラム街に暮らす人々は、容器で買う水に1000リットル当たり、英4ポンド相当のカネを払っている。同じ町でも、裕福な家庭には水道が引かれ、同量の水が17ペンスで手に入る。英国では81ペンス、米国は34ペンス程度だ。

需要は増加ペースを速める

 他国のデータからも、人類に不可欠な水を最も高く買っているのが最貧困層であることが裏づけられる。世界中で水不足が深刻化しており、約10億人が上水を手に入れられず、26億人が衛生的なトイレを利用できない。英慈善団体ウオーターエイドによれば、水が原因の病気で毎日5000人の子供が死ぬ。

 国連開発計画(UNDP)によると、安全な飲料水を得られない人を半減させるには約100億ドルかかるが、実現すれば、世界経済は年間380億ドル拡大するという。

 雨が降るたびに思い出されるように、水は最たる再生可能資源だ。問題はその分配にある。一部地域に渇水や洪水が多発する気候現象だけではなく、各国の水資源管理も問題だ。

 最大の問題は、水の適正価格をどう定めるか、だ。貧困層が安全な水にアクセスできない一部の国では、ほかの住民は補助金のおかげで安く水を使えるために、水を浪費していたりする。

 発展途上国に限った話ではない。スペインの農家は水にかかる実費の推定2%しか払っていない。米カリフォルニア州中部のコメ及び小麦農家は州の水の5分の1を使うが、その料金は格安で、年間推定4億1600万ドル(2006年実績)の補助金が出ている計算だ。

 「水の料金は公正でも現実的でもない。そのために人々は水が永遠に無料であるかのように使っている。水不足の原因はここにある」。食品世界最大手ネスレのCEO(最高経営責任者)、ピーター・ブラベック氏はこう指摘する。

「仮想水」に見る水価格の歪み

 同氏はさらに、水資源の節約と適正な分配に取り組まない限り、企業は水の確保に苦しむことになると警告。唯一の解決策は市場原理の導入だと主張する。水の無駄遣いを防ぐには、適正で現実的な価格設定が必要だという。

 ネスレが水問題に取り組んでいるのは、善き企業市民を目指す活動の一環だ。かつて同社は途上国で粉ミルクを売り込み、汚染された水で溶いた粉ミルクを飲んだ乳幼児が死んだ。活動家は母乳を与えていれば避けられた事故だと訴え、一部消費者の間で30年に及ぶネスレ不買運動が起きた。

 不適切な価格のせいで生じる最大の問題は、「仮想水(食糧や工業品の生産に使われた水)」の取引に見られる。水不足の国が農産物や工業品の輸出を通じて水を大量に輸出しているのだ。

 穀物輸出国オーストラリアの仮想水輸出量は世界最大。7年間渇水に苦しんだ同国の農家は世界一効率的に水を使うようになったが、これほど水の少ない国が輸出用の灌漑作物の栽培を手がけることに意味があるのか疑う向きもある。

 消費者は仮想水取引にあまり気づかないが、多くの商品の価格は、その生産過程で使われた水が非常に安いことを示している。英非営利団体ウオーターワイズによると、安いジーンズを1本作るのに最大1万1000リットルの水が使われる。1ドルしないハンバーガーには2400リットル以上の水が必要だ。

 農業用水は直接・間接的に国の援助を受けていることが多い。そのため農家にとって水は「非常に安い」(UNDPのアンドリュー・ハドソン氏)。これが深刻な問題を招いている。UNDPの推測では、インドの一部地域で地下水面が年間1m以上下がっており、将来の農業生産を危うくしている。

 農業以外でも、補助金などを受け、水を無料あるいは安く確保している産業がある。UNDPはこう結論づける。「水の管理は今、借金で散財するのと同様の無謀で持続不可能な様相を呈している。補給率で測ると、各国は保有量以上の水を使っている」。このため将来の問題が積み上がる。世界人口は現在の 67億人から2050年には90億人に増えると予測されている。

では、どうすれば水を適正価格にできるのか。非政府組織の多くは、水を基本的人権としてとらえるべきだと考え、料金引き上げに不信感を抱く。

 ウオーターエイドの政策担当ヘンリー・ノースオーバー氏は、一部の途上国では水の統治組織が未熟であるため水に価格をつける試みが妨げられていると言う。「安定した国家機関と有効な政治体制があって初めて、価格設定が供給規制の手段として機能する」。

 ハドソン氏は、特定の条件が満たされれば価格は適正になり得ると考える。「1日の生活に最低必要な水20リットルを供給する仕組みは不可欠だ。そのために国は補助金を適切に使い、水へのアクセスを構築する必要がある」。

 大半の国が水の価格を規制しているが、“誤った補助金”のせいで適正価格に落ち着かないことが多い。そこでブラベック氏が代案として提案するのが、水利権の市場取引だ。

 彼はこの構想を、欧州の二酸化炭素の排出枠取引になぞらえる。キャップ・アンド・トレード(C&T)方式で企業に排出枠を課し、過不足分を売買させるこの制度を水に導入すれば、企業や農家は一定量の水の使用権を認められる。割当量より多く使いたい時は取引市場で権利を買わねばならない。

 何も新しい構想ではない。オマーンの砂漠の民は何千年も前から水の利用権を取引してきた。最近ではネスレの故郷スイスの一部地域で、各農家が用水路から使用する水量を定め、栽培作物に応じて権利を売買しているという。

 米慈善団体、環境防衛基金のフレッド・クルップ代表はこの構想を熱烈に支持し、今年1月のダボス会議で「C&Tのような市場ベースの手段が適切に設計・運用されれば、水問題の解決にも役立つ」と語った。

「水利権取引」の課題

 だが、水利権取引には法律上、政治上の障害があると国際環境開発研究所のジェイミー・スキナー主任研究員は言う。例えばスペインでは、農家は水を所有していないため、水利権を土地所有権から分離しないと取引できない。また、「取引をうまく進めるためには水資源の民営化がある程度必要だが、これは政治的に難しい」(同氏)。

 クルップ氏は克服すべき法的問題や統治上の問題、既得権益が存在することは認める。厄介なのは農業ロビー団体だ。水利権に関し、農業部門は大半の国で最も優遇されており、ほかの産業より水に払う料金が少ないからだ。

 「コスト効果が高く、大金が利権団体に入らないような形で水利権取引市場を創出するには、課題がたくさんある。水の移送が農村や低所得層、環境を傷つけないよう気をつける必要もある。水のC&T制度には厳格な監視と執行が必要だ」。クルップ氏はこう言いつつも、「問題は十分対応可能であり、既に対策に取り組んでいる」と胸を張る。

 水にC&T方式を導入するには、排出枠取引とは異なる障害がある。排出枠取引は仮想で、企業は温暖化ガスの排出枠を取引するのであり、実物を売買するわけではない。だが、水は重いうえに長距離移送が難しい。

 長距離でも可能な輸送手段は容器に詰める方法だが、これはコスト高で環境にも優しくない。従って水利権取引は水源を共有する狭い地域限定で実施されることになるだろう。スイスなどの例が示すように、公正な取引を保証する統治機構があり、それを遂行する強い政治的意志があれば、地域限定の水利権取引制度は構築できる。

 企業は水の価格上昇と規制強化に備えるべきだとブラベック氏は言う。「水への支払いは増えるが、それは正しいあり方だ」。多くの企業はその場合、水道会社や官僚に勝手に値上げさせるよりは水利権取引を選ぶと彼は見る。

 「(企業にとって)水の確保を確実にすることは、健全な経営環境につながる。そのためには市場原理と保全が最もコスト効率の高い選択肢だ」とクルップ氏は断言する。水に不当に高いカネを払っている貧困層のためにも、一刻も早い適正価格の実現が待たれる。

(2008/04/24 FINANCIAL TIMES)

三井物産、カタール発電・造水プラント事業に参画

2008年03月26日 23:00

三井物産(TSE:8031)は、スエズ・トラクタベル社(ベルギー)と共同で、カタール水電力公社から同国ラスラファン工業地区での発電・造水の事業権を受注し、事業会社の設立に関する契約に調印しました。

本事業会社は、2,730MWの発電能力と日量63百万英ガロンの造水能力を持つ新規発電・造水プラントを建設、保有し、完工後25年間にわたりカタール水電力公社に対し電気・水を供給します。総事業費は約39億ドル(総事業費用の約8割をリミテッドリコースファイナンスベースで銀行団より調達予定)であり、今後、本年4月に電気・水の売買契約及びプラント建設契約等を締結し、2011年4月の商業運転開始を予定しています。

中近東地域においては急速な経済発展に伴い、今後も新規インフラ案件が多数計画されています。当社は、中近東地域のインフラ事業を重点分野の一つと位置付けており、引続き積極的に優良案件の受注を目指します。カタール国において当社はこれまでに、Qatargas1/Qatargas3のLNGプロジェクトやLaffan Refineryでの石油精製プロジェクトに資本参画のうえ、エネルギー分野での事業展開を行なっている実績があります。今後は同国内の新規インフラ案件及び新エネルギー案件の開拓・推進、優良資産の獲得に取り組む方針です。

(2008/03/26 JCN Newswire)

コンチネンタル航空、09年にバイオ燃料の試験飛行-ボーイングなどと共同で

2008年03月24日 23:00

 コンチネンタル航空(CO)は2009年前半に、ボーイングとGE・アビエーションと共同で、バイオ燃料の試験飛行を実施する。試験飛行までの期間、農作物の収穫や水資源に影響を及ぼさず、森林破壊をまねかない燃料源を研究し、さらに航空燃料としての性能と安全基準、十分な量の生産が可能かを調査する。使用機材は次世代のボーイングB737型機。

 なお、COでは新型機材の導入などにより、これまでの10年間で温室効果ガスの排出量と主要路線の有償旅客マイルあたりの燃料消費率を約35%削減した。今後の代替燃料戦略の詳細は、試験飛行の日程が近づいてから発表する予定だ。

(2008/03/24 TRAVEL VISION)

水資源問題:途上国を疑似体験する仮想空間 Second Life

2008年03月24日 23:00

 仮想世界のSecond Lifeで3月22日(米国時間)、「世界水の日」に合わせて、新しい仮想空間「WaterPartners Village」が開設された。開発途上国の村の生活を疑似体験できる空間で、安全な水を得るのに苦労している実態を伝えている。仮想空間という手段で、社会問題を訴える試みだ。
 3次元CGによる仮想空間で、米国の援助団体「WaterPartners」がつくった。一般市民が実際に途上国を訪れることは少ないため、せめて疑似体験してもらうのが狙い。舞台はエチオピア、ホンジュラス、インドの村。11歳の少女が水をくむために3時間も歩いたり、母親が赤ん坊に清潔な水を与えられない現実を紹介している。

 世界全体では10億人以上が安全な水を得られない毎日を送っている。不衛生な水が原因で、15秒に1人のペースで子供が死亡しているという。同団体は、上下水道の整備を支援する活動を続けている。

 一方、動画投稿サイトの米YouTubeに、仮想空間を紹介する動画を公開した。SNSの米MySpaceには、空間に住む“少女”のプロフィールを開設。インターネットを駆使して、支援を呼び掛けている。

(2008/03/24 Open Tech Press)

「バイオ燃料増産が食糧危機まねく」、ネスレ会長が警告

2008年03月24日 23:00

 食品最大手ネスレ(Nestle)のピーター・ブラベック・レッツマット(Peter Brabeck-Letmathe)会長兼CEOは23日、バイオ燃料の原料として小麦やトウモロコシなどの穀物需要が増加しているため、世界が食糧危機にさらされていると警告した。

 レッツマット会長は、スイス日曜紙NZZアム・ゾンターク(NZZ am Sonntag)で、「予測されているとおり石油製品需要の増加分20%をバイオ燃料で代替すると、食用に回す穀物はなくなってしまう」と指摘。バイオ燃料製品への助成金について、「多額の助成金は倫理的に受け入れ難く、無責任な行為だ。競争の激化はトウモロコシ、大豆、小麦などの価格高騰を招き、耕作地の減少につながり、水資源を危機にさらす」と懸念を示した。

 2007年には国連(UN)・食糧の権利に関する特別報告官のジャン・ジグレール(Jean Ziegler)氏が、国連総会演説で「深刻な」食糧危機の回避策としてバイオ燃料の開発を5年間凍結する案を提唱している。

(2008/03/24 AFP)

国連水の日、ブラジルの瀑布に巨大オブジェ出現、水資源保護を訴え

2008年03月23日 00:00

 世界自然保護基金(World Wildlife Fund for Nature、WWF)は22日、ブラジルとアルゼンチンにまたがる瀑布・イグアスの滝(Iguacu Falls)に空気で膨らませた高さ15メートルの巨大な浄水装置のオブジェを設置して報道陣に公開した。

 3月22日は国連(UN)が水資源の保全・開発の啓発活動をするために制定した「世界水の日(World Water Day)にあたる。

 世界自然保護基金はこの日を記念して、気候変動によって危機に直面している水資源の保護を訴えた。同基金によると、ブラジルには世界中の淡水の13.7%が存在するという。

(2008/03/23 AFP)

アラン教授にストックホルム水大賞、「仮想水」の概念を導入

2008年03月21日 23:00

 水問題および農業、気候変動、経済、政治と水問題との関連について理解し、意思を伝え合うためのカギとなる概念のパイオニアであるキングス・カレッジ・ロンドン教授、東洋アフリカ研究学院教授のジョン・アンソニー・アラン氏が2008年ストックホルム水大賞受賞者に選ばれた。

 人間は飲んだりシャワーを浴びたりする時にだけ水を消費しているのではない。1993年にアラン教授は、食糧、消費者製品生産の背後にある水の量の測定法として「バーチャル・ウォーター」の概念を導入し、この点を示す方法に画期的な進展をもたらした。朝のコーヒー1杯の背後には、コーヒー豆を育て、製造、包装、船積みするために消費された140リットルの水がある。これは平均して1人の英国人が毎日の飲用や家事の必要のために使う水の量とほぼ同じである。ハンバーガー1個は約2400リットルにあたる。米国人は1人平均で毎日約6000リットルの仮想水を消費する。これは中国人の平均の約3倍である。

 アラン教授の研究でわかったこのような知見は世界の貿易政策や研究に大きな衝撃を与えており、水政策、水管理の論議を変えている。水を多く使う商品は、効率的な生産ができず、経済にとって水から得られる利益が大きい場所から貿易によって運ばれてくるのだ。

 これは各国の水政策、貿易政策に影響を与えるものであり、世界の水資源のバランスに大きな意味を持っている。仮想水の概念を応用すれば、貿易を利用して地域的な水不足を軽減し、水資源をより効果的に使う可能性を提供できる。いずれも将来の世代のために世界の水資源の持続可能な管理能力を向上させ、国家が少ない水資源をめぐって戦争する危険を軽減するものである。

 多くの著書があり教育者であるアラン教授は、世界水資源、紛争解決、中東・北アフリカ地域の有力な専門家である。現在の水の分野で最も影響力のある思想家の1人とされている。

 ストックホルム水財団が毎年贈るストックホルム水大賞は賞金15万ドルである。この賞はストックホルムでの世界水週間中の8月21日にストックホルム・シティーホールで授与される。スウェーデンのカール16世グスタフ国王がストックホルム水大賞の後援者である。

 詳しい情報はhttp://www.siwi.orgへ。

(2008/03/21 共同通信)

中国:北京五輪、水不足の危機

2008年03月21日 23:00

今月5日から始まった『全国人民代表大会』では首都圏の水不足問題が大きく取り上げられた。同会議では、水不足解消のため近隣地域から北京市への水の放流をさらに集中的に行うべきとする意見が出されたが、北部の省代表からは強い反発の声があがっている。

【北京IPS=アントアネタ・ベツロヴァ、3月14日】

 今夏の北京五輪開催を前に現在、中国は水資源不足という大きな問題に直面している。今月5日から始まった『全国人民代表大会(National People’s Congress: 全人代)』の会議では首都圏の水不足問題が大きく取り上げられた。

 同会議では、水不足解消のため近隣地域から北京市への水の放流をさらに集中的に行うべきとする意見が出された。しかし、この計画に北部の省の代表からは強い反発の声があがっている。山西省や河北省の水不足問題は、(これまでの行われてきた)首都圏への大量の水の放出や水路の汚染などにより益々深刻化しているからだ。

 山西省代表のZhang Fuming氏は「北京の水確保に貢献したい気持ちもあるが、同省も慢性的な水不足に喘いでいる」と述べた。山西省では昔から大規模な鉱山開発が行われ、それに伴う地下水のくみ上げによる水質汚染などが問題化している。

 河北省では1999年から旱魃が続き、飲料水不足だけでなく農業にも大きな被害をもたらしている。河北省の代表は貴重な水資源を北京に放流する代わりに補償金を支払うよう要求している、と国内のメディアは報じた。

 一方、中国当局は水の貯蔵・灌漑・都市への放水を行うため大掛かりなインフラ整備計画に莫大な資金を投資。この『South and North Water Diversion』計画により、長江から年間10億tの水を北京に供給する予定だ。しかし、この大規模な計画には600億ドルを超える費用がかかるうえ、完成までにはかなりの時間が必要と見られている。

 今年1月、北京五輪開催に向けて黄河から首都圏への水の放流を始めた。3ヶ月にわたり最大1億5,000万m3の水が北京南部の淡水湖、白洋淀(Baiyangdian)に送られることになる。中国北部の水不足について報告する。

(2008/03/21 IPSJapan)

世界の氷河溶解が加速、06年は前年の2倍以上 国連環境計画

2008年03月17日 23:00

 国連環境計画(United Nations Environment Programme、UNEP)は16日、世界各地の氷河が警戒すべき速度で縮小しているとして、多くの人の水資源への一層の制約を回避するためにも早急な行動をとる必要があることを呼びかけた。

 UNEPのアヒム・シュタイナー(Achim Steiner)事務局長は「数百万人が直接・間接的的に飲料水、農業・工業用水、発電の利用を通じて氷河に依存している」と述べた。

 スイス・チューリヒ大学(University of Zurich)に拠点を置く、UNEPの支援組織「世界氷河モニタリングサービス(World Glacier Monitoring Service、WGMS)」のデータによると、この主因は気候変動だという。

 WGMSが9か所の山脈にある30近くの氷河を観測した結果、2005-2006年の平均氷河縮小量が2004-2005年の2倍以上に達したことが明らかになった。

 2006年に融解した氷河の厚さは水に換算して1.4メートルだったが、2005年には0.5メートルだった。特に縮小量が大きいのは、ノルウェーのBreidalblikkbrea氷河で、2005年の0.3メートルに対し、2006年には3.1メートルに拡大している。

 一方、30氷河のうち厚みが増したのは4%にとどまった。

(2008/03/17 AFP)

海水から真水造る 水資源機構職員ら、淡水化装置で訓練

2008年03月12日 23:00

 独立行政法人・水資源機構は十一日、徳島市川内町榎瀬の旧吉野川河口堰(ぜき)管理所で、移動式海水淡水化試験装置を使った造水訓練を行った。

 機構や県の職員約二十人が参加。担当者から手順の説明を受けながら操作した。今切川の海水をくみ上げ、塩分やごみを除去して真水を精製する仕組みで、特にトラブルはなく、操作開始から約半時間後に真水が流れ出した。

 装置は、渇水時や災害時などの水確保策として機構が昨年開発。旧吉野川河口堰操作所に保管している。造水能力は一日三十五トン。一日当たりの一般家庭の使用水量で換算すると百五十人分で、緊急時の飲料水としては一万千人分に相当する。

 昨年二月に阿南市内で試験し、実用化が可能となっている。自治体などから要請を受ければ出動するが、これまでに活用された例はない。

(2008/03/12 徳島ニュース)

日本は実は「水の輸入大国」だ~『水戦争』 柴田明夫著(評:石山新平)

2008年03月10日 23:00

 「空気と水はただ」というのが長年の日本人の一般的な考え方だった。経済的観点からも金銭で捉えにくい存在だったと言っていい。

 もちろん、ミネラル・ウォーターも存在するし、上下水道代や水利権というものもある。空気だって排気ガス対策費用といった「コスト」に置き換えることはできたのだが、空気や水を商品として売買するというのは、これまで一般的ではなかった。

 柴田明夫著『水戦争』は、そんな常識が一変しつつあることを明らかにしている。著者いわく「いまや世界の水資源はエネルギーや金属、食料にも増して資源化している」というのだ。さらに、そして「将来、原油のように取引所で取引される商品となる可能性も否定できない」とまで言い切っている。

 著者の、この一見大胆とも思える直感は、おそらく正しいのではないだろうか。というのも、水に先んじて空気が取引の対象となっているからである。

 欧州連合(EU)が二酸化炭素の排出権取引制度を始めた2005年1月、経済の常識は大きな転換点を迎えたとみるべきだ。二酸化炭素は言うまでもなく酸素の燃えカスである。その排出権が取引所に上場され、1トン当たり何ユーロという値段が付き始めたのである。ということは、実際は酸素の使用に値段が付いたのと同じである。

 これまで温暖化問題は「エコロジー(環境)」の問題だったが、2005年を境に「エコノミー(経済)」問題になった、と言っていい。

 水は現段階ではまだまだ「環境」の問題として扱われるケースが多い。だが、本書が指摘しているように、地球上にある限られた淡水を巡って、おいおい争奪戦が起こるのは間違いないだろう。現代社会で紛争はまず、「経済戦争」の形で現れるから、そうなれば、水に価格がついて、国際間で貿易される。つまりカネのある国が世界中から水をかき集める可能性も十分にあるのだ。

日本の水消費量が少ない理由

 著者は総合商社に勤め、『食糧争奪』(日本経済新聞出版社)などの著書もある食糧・資源問題の専門家である。それだけに最新著『水戦争』でも食糧問題に多くの紙幅を割いている。

 ただし、「食糧」とは実は水である、というのが著者の言い分だ。確かに農産物を作るには大量の水がいる。日本で1キロの小麦を生産するのには、その2000倍の2トンの水が必要だという。牛肉となるとさらにその何倍もの水が必要になる。牛が成育過程で水を飲むということもあるが、それ以上に、牛の飼料を生産するのに膨大な水を消費しているということがある。

 実は、日本はあまり水資源を使わない国であるという。比較的豊富に水資源があると思われがちだが、一人あたりの1年間に利用される水の量は、飲み水、生活用水、工業用、農業用水を合わせて731立方メートルと、極度の「水不足」の国並みであるという。

 ただし、この計算にはカラクリがある。日本は食料消費量の過半を輸入に頼っている。つまり、形を変えた膨大な量の水を輸入していることになるのだ。この食料輸入=水輸入があるからこそ、日本は深刻な水不足に直面しないで済んでいるというのである。

 この形を変えて輸入される水は、専門家の間で「バーチャル・ウォーター」と呼ばれているそうだ。そういう意味では、すでに水の貿易が行われているとも言えないことはない、どころか、実際はさらに進んでいる。

 すなわち、希少化する水を巡って、すでに世界の大企業はビジネス展開を始めているのだ。その実例を紹介している第3章が、本書の白眉である。

(2008/03/10 日経BP) 

2030年に水不足10億人増 OECDが報告

2008年03月05日 23:00

 地球温暖化対策をはじめとする新たな環境対策を直ちに取らないと、深刻な水不足に悩む人が10億人も増え、50年の地球の気温は産業革命前より最大で2・4度上昇するなど、世界経済や地球の生態系に大きな影響が出るとする報告書を、経済協力開発機構(OECD)が5日、発表した。

 大気中の温室効果ガスを450ppmという比較的低濃度で安定化させるのに必要な費用は、世界の経済成長率を年率で約0・1%減少させる程度だとの試算に基づき「予測される被害に比べ対策コストは小さい。支出は可能で、意味もある」と指摘した。

 「環境アウトルック(予測)2030」と題された報告書は、新たな対策を取らないと、30年には世界の温室効果ガス排出量が現在より37%、50年には52%増加すると予測。気温も上昇して干ばつや熱波の被害などが深刻化する。

 温暖化で水資源問題も深刻化、30年には水不足に悩む人が10億人増え、39億人を超える。

(2008/03/05 共同)

輸入農畜産物:生産に水427億トン 国内年間取水量の半分--環境研・東大推計

2008年03月01日 23:00

 日本に1年間に輸入される主要な農畜産物を生産するため必要な水の量は427億トンとの推計を、国立環境研究所と東京大が29日発表した。国内の年間取水量のほぼ半分に匹敵。うち7%は枯渇しやすい地下水の一種「化石水」を使っているとみられる。日本の食卓が海外の水資源に依存している実態が浮かんだ。

 研究チームは、地球を100キロ四方の区域に区分し、降水量や蒸発量、河川やダムからの取水量、農畜産物の生産に必要な水の由来や量を計算できるモデルを開発。00年に輸入した5農産物(大麦、トウモロコシ、コメ、大豆、小麦)と3畜産物(牛肉、豚肉、鶏肉)を対象に分析した。

 大豆は126億トン、トウモロコシは109億トン、牛肉は80億トンなど、8品目で計427億トンの水が生産に使われたことが判明。取水源は雨水の325億トンが最も多く、かんがい水73億トン、化石水29億トンの順だった。

 化石水は、地層の関係で雨水がしみ込んでいかない部分にある地下水。1000年単位でたまるため再生が難しい。環境研の花崎直太研究員は「枯渇が懸念される地下水にも依存して食料が輸入されている現実を知ってほしい」と話している。

(2008/03/01 毎日)

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