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銀行・証券・商社 排出権取引仲介活発

2006年11月02日 08:30

今年30件超、4倍に
電力・鉄鋼 販売にらむ


二酸化炭素(CO2)など地球温暖化ガスの排出権を売買する取引を仲介する業務が日本でも活発になってきた。三井住友銀行、みずほ信託銀行、大和証券、丸紅など少なくとも8社が参入。今年の仲介件数は10月末時点で30を超した。
すでに昨年の年間8件の4倍に達する。条約で国別に定めた排出量削減の目標時期2008-12年を控え、電力や鉄鋼会社などへの販売をにらんでいる。信託機能の活用や憤券など他の商品との組み合わせなど金融取引としてもすそ野が広がる司能性も出てきた。(大本幸宏)

排出権は相対取引が原則で、しかも排出枠が不足気味の企業が余り気味の企業から直接購入する例が一般的だった。それが、ここにきて、銀行、証券会社、大手商社が金融商品の延長と位置付け、売買を仲介するケースが徐々に増えてきた。

日経金融新聞が金融機関や商社を対象に調査したところ、少なくとも8社が今年、国内で仲介を成立させた。内訳は商社4杜、銀行2行、証券2社。04年に初めて1件が成立。05年も8件にすぎなかったが、今年は年間でも36件くらいになるという。前年の5倍弱のペースだ。

来年以降も仲介業務はさらに増える見通し。経済産業省が10月下旬に開いた排出権制度に関する連絡会には三菱UFJ証券、三井住友銀、みずほフィナンシャルグループなどが参加。積極的に取引を増やしたいとの表明が相次いだという。

信託機能を活用

外資系も日本での取引に注目。モルガン・スタンレー証券は07年以降5年間で27億ドル(3200百億円)分の排出権を新たに購入し他に転売する方針。遠藤久樹コモディティーズ部長は「電力や鉄鋼への販売を考える」という。

金融機関や商社が仲介業を強化しているのは、排出権確保を急ぐ電力や鉄鋼だけでなく、事業拡大でエネルギー消費が見込まれる不動産などサービス業などでも需要が生まれつつあるためだ。
みずほグループは排出権をより購入しやすくするため信託商品に置き換えて販売・仲介を始めた。
顧客からお金を預かって特定の目的に使う信託の機能を活用した排出権の取得代行業だ。「今年に入ってメーカー中心に問い合わせが10件弱あり、07年春以降に取り扱いを拡大する」(みずほ信託銀行)という。

連動債券を発売

金融機関はさらにファンドや機関投資家などを対象に、排出権を他の金融商品と同様の運用商品として販売・仲介し始めた。大和証券が2月に子会社を通じ排出権価格に連動する債券を発売。「市場価格などの情報も少なく使いにくい」(富国生命の桜井祐記財務企画部長)との声もあるが、金融商品との融合も進み出した。

排出権取引のコンサルティング業を手掛ける日本スマートエナジー(東京・港)の大串卓矢代表取締役によると、仲介を含む日本の取引規模は今年は「約200億ー300億円程度になる可能性がある」という。世銀によると、06年の世界の取引塁は9月時点で約215億ドル(約2兆5千億円)。欧州が先行し、昨年までは日本でほとんど取引がなかったが、今年は仲介業拡大などで世界全体の1%弱に相当する規模になったもようだ。

環境省主導で、相対や金融機関の仲介ではなく、インターネット上で売買できる取引も始まり、10月に初めて取引が成立した。実績はまだ1件だけだが、取引多様化で市場のすそ野が広がる可能性がある。

▼排出権取引
 
CO2など温暖化ガスを排出できる権利の売買。国や企業などにあらかじめ排出枠を割り当てる。実需取引のほか、相場の先行きをにらんで運用益を稼ぐ取引もできる。

通常の取引単位は温暖化ガスをCO2ベースに換算した1CO2換算トン。
日本の4人家族が平均年4トンのCO2を排出するとされる。現在の相場は欧州で1CO2換算トン=10ユーロ(約1500円)程度。

国際条約は日本に2008-12年に排出量を1990年時点と比べ6%分削減する目標を求めている。業界や企業ごとにおおまかに枠を割り振っており、業界や企業は枠を超すと購入する必要に迫られる。ただ欧州と異なり、目標達成は各企業への義務ではない。

取引所不在、課題に

国内で今後市場規模が拡大していくには、様々な課題がある。まず排出権を上場する取引所がない。欧州では2005年春に欧州気候取引所(ECX)などが相次いで排出権を上場した。「欧州のファンド中心に投機資金が流入して取扱高が膨らんでいる」(ナットソース・ジャパンの春田五穂執行役員)という。

日本では東京工業品取引所が排出権取引市場創設に向けて一時研究を進めたものの、「国際条約(京都議定書)の第一約束期間が終わる12年より先の制度の行方が不透明。排出権上場には法改正が必要で、リスクが大きい」(山岡博士事務室長)と事実上の小休止状態。東京金融先物取引所も同様で上場機運は盛り上がっていない。

銀行や証券会社には法制度の壁もある。金融機関は銀行法など業法で業務範囲を定められている。排出権を直接販売できず、「子会社を通じて扱っている」(大和証券SMBCプリンシパル・インベストメンツの大槻雅彦部長)。商社に比べてコストがかかる。

企業の会計上の扱いでは統一的なルールがない。船井総合研究所の環境ビジネスコンサルティンググループの諸橋宏一氏は必要経費として認められるかどうかについて「国税庁など関係機関のどこに聞いてもわからなかった」と指摘する。

(日経金融 2006/11/02)
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