スポンサーサイト

--年--月--日 --:--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

【旬を読む】『「温暖化」がカネになる』北村慶著

2007年10月22日 23:00

□リバーフロント整備センター理事長・竹村公太郎

 「温室効果ガス排出権取引」と聞いただけで胡散(うさん)臭さが漂う。本書は、その排出権取引の誕生、現在、未来の動向をまるで小説を読むように分かりやすく理解させてくれる。

 この排出権取引は1997年の京都議定書で「削減約束達成のための柔軟性をもたらす措置」という怪しげな文章からスタートした。

 中国はこの排出権取引を「空から月餅(げっぺい)が降ってきた」として、その許認可と取引利権は国家の統制下においている。また、世界中で金もうけにたけたファンドたちが動き始めている。日本は京都議定書で過酷なマイナス6%を設定され、それが達成できないどころかプラス7.8%となり、削減の約束を守るため排出権を購入せざるを得ない状況にある。

 日本政府は経産省の外郭団体NEDOに122億円の排出権購入を指示した。しかし、その購入の事実関係の十分な説明はなされていない。京都議定書の最終年度の2012年まで税金が投入され続けると、最悪のケースで約5兆円にも達する。この税金投入が地球温暖化防止に寄与すれば少しは納得できる。しかし、京都議定書の削減義務国は世界のCO2排出量の26%の限られた国だけであり、米国、中国、インドなど74%を占める国々は含まれていない。排出権取引の効果は本当にあるのかが疑わしい。それらが手際よく述べられている。

 投資ファンドや金融商品開発の現場に携わった著者の北村氏は、この複雑な排出権取引の実情を、素人の読者に丁寧に数字を示しつつ解説していく。著者は「人々の善意に頼って地球環境を守るのではなく、人々の金もうけの欲望を直接刺激し、その結果として地球環境が守られる仕組みを作ることが必要」と金もうけ主義に立脚した結論に達したように見える。

 ところがその直後に、排出権費用を加算し化石燃料コストを大幅に高める。そのことで化石燃料から別れ、グローバル経済主義から脱却し、地域ごとでの生産と消費が大切、という主張を展開していく。

 この本のさわやかさは、金もうけの専門家が金もうけだけに止(とど)まらず、金もうけを通じて未来の人類の存続の方策を思考しているところにある。

 それにしても、日本は2度の石油ショックを乗り越え世界に類のない省エネ社会を構築した。その日本が10年前の京都議定書で、過酷な削減設定を認めさせられてしまった。その責任は誰にあるのか。当時の担当省庁の責任は重い。(PHP研究所・1365円)
          ◇

【プロフィル】竹村公太郎

 たけむら・こうたろう 昭和20年生まれ。東北大学土木工学科修士課程修了。国土交通省河川局長を務め平成14年に退官。社会資本整備の論客として活躍。著書に『日本文明の謎を解く』『土地の文明』など。

(2007/10/22 産経)
スポンサーサイト

コメント

    コメントの投稿

    (コメント編集・削除に必要)
    (管理者にだけ表示を許可する)

    トラックバック

    この記事のトラックバックURL
    http://carbonf.blog99.fc2.com/tb.php/176-b245860d
    この記事へのトラックバック

    最近の記事

    上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。