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クローズアップ2008:穀物急騰、途上国を直撃

2008年04月19日 23:00

 コメや小麦など、穀物価格の急騰が途上国に深刻な打撃を与え始めた。主食を輸入に頼る国々では暴動が相次ぎ、中米の最貧国ハイチでは政府崩壊の危機を招いている。一方、輸出国側では自国消費分確保のため輸出禁止の動きも広がり、「食糧ナショナリズム」の様相も呈する。背景には新興国の需要拡大のほか、低所得者向け高金利住宅ローン(サブプライムローン)問題で投機資金が穀物市場へ流れたことなどがある。7月の北海道洞爺湖サミットでも主要議題になりそうだ。
 ◇暴動で死傷者多発

 「空腹が耐えられない」「大統領、辞めろ」--。今月8日、ハイチの首都ポルトープランス。食糧価格高騰に抗議し大統領府へ突入しようとする市民を、駐留する国連平和維持軍が催涙弾で阻止する様子をAP通信が伝えた。国民の8割が1日2ドル以下で暮らす最貧国ではコメなどの値段が昨年の1・5~2倍に跳ね上がった。

 責任を問われたアレクシス首相の解任が上院で決議された12日、プレバル大統領はコメ50ポンド(約23キロ)を51ドルから43ドルに引き下げると発表。だが、豆や牛乳も値上がりし、市民の不満は強い。略奪への発砲などで死者は今月に入り5人に上る。

 南米ベネズエラのチャベス大統領は12日、ハイチへ肉や穀物計364トンの緊急支援を決めた。「ブッシュ(米大統領)がバイオエタノール増産を表明後、貧しい人々の餓死が深刻になった」と、食糧価格高騰の責任は米国にあると非難した。

 国民の2割が貧困層のエジプト。公営のパン屋が1枚5ピアストル(約90銭)の安価なパンを販売する。だが、パンの大きさは3年前の約半分。民間のパン屋の値段は公営店の5倍以上にもなる。パンの売買が原因のけんかなどで先月以降、十数人が死亡した。

 穀物に加え、燃料高騰が重なるアフリカでも暴動が相次ぐ。カメルーンでは2月、物価高騰を一因とする暴動で約40人が死亡。3月のコメ価格が1年前の2倍に上がったコートジボワールやモーリタニアでも暴徒と警察の衝突で死者が出た。世界第4位のコメ生産国バングラデシュも、1万5000人以上の工場労働者が賃上げを求めてストに突入した。【メキシコ市・庭田学、カイロ高橋宗男、ヨハネスブルク高尾具成】
 ◇広がる「自国分確保」

 国連食糧農業機関(FAO)は最貧国の07~08年の穀物輸入代金が前期比56%増加すると予測する。国際通貨基金(IMF)のストロスカーン専務理事は「このまま高騰が続けば、戦争の危険を含めたひどい結果に世界は直面する」と警告。潘基文(バンギムン)国連事務総長は各国首脳を集め「食糧サミット」を6月に開く方向で検討を始めた。

 事態を重くみた先進国も動き出した。サルコジ仏大統領は18日、「直ちに食糧安全保障を強化しなくてはならない」と述べ、仏が今年度の緊急食糧援助に昨年度比2倍の6000万ユーロ(約98億円)を計上すると表明。米政府もすでに最貧国に2億ドルの拠出を打ち出している。

 食糧価格高騰が途上国を直撃するのは「先進国では食費が家庭の支出に占める割合は1~2割であるのに対し、途上国では6~8割にも達する」(FAO)ためだ。国連の専門家グループは途上国で教育費など「未来への投資」のカットに直結し、長期的な悪影響を与えると指摘する。

 一方、世界有数の小麦生産国カザフスタンは15日、自国での物価上昇に対応するため9月まで小麦の輸出禁止を決定。ベトナムはコメの輸出禁止措置を6月まで延長することを決めた。

 世界食糧計画(WFP)によると、援助用の食糧価格が約1年で5割も上昇。確保が困難になっている。欧州委員会のマンデルソン委員は17日、「世界が食糧安全保障の幻を追うなら、保護貿易主義の連鎖を引き起こしかねない」と生産国を批判した。【西尾英之、パリ福井聡】
 ◇資金、一斉に市場へ
 ◇新興国での需要増/バイオ燃料ブーム/サブプライム危機

 「食糧インフレの時代が来た」--。シカゴ商品取引所(CBOT)の動きに詳しい米エコノミスト、ビル・ラップ氏は、穀物価格の急騰を表現する。中国やインドなど経済成長著しい新興国の食糧需要増が主な背景と言われているが、複合的な原因が指摘できる。

 昨年1月、ブッシュ米大統領が一般教書演説の中でバイオエタノール増産計画を打ち出すと、直後からシカゴ市場のトウモロコシ価格が急騰、1年前の2倍の値をつけた。さらに昨夏、サブプライムローンの焦げ付きが世界的な金融危機に発展。それまで欧米金融市場で、住宅ローン関連の証券化商品に投資してきた世界中の投機資金が一斉に金融市場を離れた。

 行き場を失った資金は投資先を求めてさまよい、値下がりしにくい市場、確実に需要を見込める市場に流れ込んだ。一つがエネルギー市場で、もう一つが穀物市場だった。原油は新興国の需要増が価格を支えた。穀物はバイオ燃料ブームで、既に上昇基調に入っていた。目をつけた投機資金が穀物市場に流れ込んだ形で、シカゴ市場では今年に入ってからも連日のように小麦やトウモロコシの取引価格が史上最高値を更新している。【ワシントン斉藤信宏】
 ◇サブプライムよりアジアへの影響大

 【マニラ矢野純一】アジア開発銀行(ADB、本部・マニラ首都圏)の黒田東彦総裁は18日、記者会見で「コメなど食糧価格の世界的高騰がアジア経済に与える影響は、サブプライムローン問題より大きい」との見方を示した。

 黒田総裁は価格高騰の要因について、▽発展途上国での、穀類を多く消費する肉の需要の増加▽オーストラリアの干ばつによる生産の減少--などを挙げた。総裁は「かんがい設備や農道など生産増加につながるインフラ整備の支援を強化したい」と話し、来月スペインで開かれるADBの年次総会でも主要テーマになるとした。

(2008/04/19 毎日新聞)
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